フラッシュバック
いつも思い返す記憶がある。
小学校低学年の時に、ジョーロに水を入れて回転して円を描いて遊んでいた。
楽しくなってグルグル回って円を描いた。
すると、ジョーロの口が飛んでって玄関のガラスに突っ込んで割ってしまった。
一瞬にして我に返った。
「あぁ、また怒られる。怒鳴られる。たたかれる・・・」恐怖で震え上がる。
祖母に正直に言うと、父に謝れという。
言われた通り父に言うと、想像通り頭ごなしに怒鳴られげんこつをくらう。
すごくショックで、この時の記憶が今も強く残っていた。
私が楽しむと悪いことが起きるのではないか・・・不安症の原因のひとつかも。
先日、愛猫がひとり遊びをしていて興奮して棚の上の物を全てひっくり返してしまった。
とっさに、イラっとして「コラー!!何やってるの!!」と言った。
言った直後、ジョーロ事件がフラッシュバックした。
「私はただ楽しかっただけなにの・・・割るつもりで割った訳ではないのに・・・」
そうだった。楽しかったんだよあの時。
なのに、父は私より玄関のガラスの方が大切で私の心配もしないしなぜ割ってしまったか理由すら聞かなかった。私は悪い子だから心配もされないのだ。
そんな考えが蘇ってしまった。
そして今、私は愛猫にも父と同じことをしている。
絶望的な気持ちになるし「物を壊す=悪いこと」という思い込みがあった。
きっと父も子供時代同じ体験をしているのかもしれない。
我に返った私は愛猫に「楽しかったのにびっくりしたね。怖かったね」と声をかけて抱きしめた。